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ブーン系小説の感想を書いたり書かなかったり
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    自作品


    御題:
    お前のすべてを否定してやる!
    粉塵爆発
    癒えない傷痕

    ――――



    川 ゚ -゚)「やぁ、寒かったかい?」

    ('A`)「むしろちょっと暑い」

    川 ゚ -゚)「チョコレイトが固まったら困るからなぁ。すまない、少し顔を洗ってすっきりしたかったんだ」


     チョコレイト作りの準備がこんなにも労力を要するものだとは思わなかった。
     けれど、これも全て目の前に居る思い人の為だと思うと、それさえ愛しい。

     ドクオが少し呆れたように笑った。しょうがないな、と長い前髪の下からはにかむような笑顔が覗く。
     そんなドクオを見下ろして、私も少し笑った。噎せかえるようなチョコレイトの香りに涙が出そうになる。

     ところで、と私は話を切り出した。


    川 ゚ -゚)「チョコレイトには脳内で恋愛感情ににたものを発生させる化学物質を分泌させる働きがある。チョコは恋の味だなんて言われるのは、そういう所以らしい」

    ('A`)「……クーさんは博識だな」

    川 ゚ -゚)「ああ、薄識だともさ」


     甘い甘い香りに埋まりながら、幸せな気分にも埋まる。
     茶色っぽい光に照らされたドクオは、少しだけ悲しそうで、とてもとても嬉しそうだった。


    川 ゚ -゚)「チョコと言えば、バレンタインだが」


     私の言葉にぴく、とドクオの肩が震える。


    川 ゚ -゚)「お前がバレンタインにくれたチョコは美味しかったなぁ」

    ('A`)「……まだ根に持ってるのか。しつこいなぁ、悪かったってば」


     ドクオはばつの悪そうに顔を攣かめた。


    川 ゚ -゚)「いやいや謝る事は無いさ。私はとても嬉しかったよ?」


     慌ててそうフォローするが、彼は拗ねてしまったように目を逸らす。
     仕方が無いのでしゃがみこんで、ドクオに目線を合わせた。

     細っちょろい首筋に手を添えると、私の手が冷えていたのか、ひくりと震える。


    川 ゚ -゚)「お前の手作り、しかも睡眠薬入りのチョコレイト、なんて」


     そのまま手を上にずらした。鬱陶しい前髪を優しく掴み上げると、ドクオは眩しそうに真っ黒な目を細めた。
     少しだけ不機嫌そうなのは、過去の失態を思い出したく無いからだろう。


    川 ゚ -゚)「そうそう頂けるものでは無いだろ?」


     不意に視線を横にやると、鏡に写る私が見えた。
     口の端がゆるりと吊り上がり、恍惚に歪んでいる。


     ああ、何て幸せそうな笑顔。

     我ながら綺麗だ、なんて思ったら自惚れだろうか。そんな趣味は基本的に無い、筈だけれど。
     けれど、仕方あるまい。

     長年の恋を成就させた瞬間の女性というのは、恐らく世界で一番美しいものなのだ。


    川 ゚ -゚)「睡眠薬で朦朧とした私に君は愛を囁いてくれた。欲望をぶつけようとすれば幾らでも出来た筈だ。なのに、君は一途なまでの愛を囁いてくれた。嬉しかったよ」


     薄れ行く意識の端で、彼の震えた声によって紡がれた愛の言葉が脳に届いた瞬間、仄かに抱いていた恋心が大きく膨れ上がり、


    川 ゚ -゚)「私の恋は粉塵爆発を起こした」


     砕け散ってるじゃん、という力無い突っ込みが聞こえたが、気にしなかった。
     幾ら暖房が効いているとは言え、熱を持たないタイルに座りっぱなりだったのが堪えたのか、ドクオの体は冷えきっていた。頬だけが熱を含んで熱く煮たぎっている。

    川 ゚ -゚)「あれから一ヶ月、どんなお返しをしようか、どんなお返しならば喜んでもらえるだろうかと、考えに考え抜いたんだ。
         まぁ並大抵の体験じゃないからな、私は大層困ったよ。あの三倍返しとかいかほどか」

    ('A`)「律儀だな。別にお返しなんて要らないのに」

    川 ゚ -゚)「そんな訳には行かないだろ? 去年私がチョコを送ったらお前は三倍くらいにして返してくれだぞ?」

    ('A`)「そりゃ俺も男なんで」

    川 ゚ -゚)「男女は平等であるべきだ。それに此処まで用意してしまったんだから、今更要らないとか言われても困る」


     ちらりとどろどろに溶けたホワイトチョコレイトに目をやる。ホワイトディだからホワイトチョコなんて、安直だったろうか。
     大体ホワイトディはマシュマロが由来だなんて言われているし、無駄な考えだったのかもしれない。

     けれど、まぁ構わない。

     マシュマロでは意味がないのだ。チョコレイトでなければ、恋を錯覚出来ない。
     その上、その錯覚をドクオに本物の恋だと思わせなければならないのだから。

     たぷり、と液状のチョコレイトに指先を突っ込んだ。少しばかり粘度の高い液体が指を包む。
     引っ張り出すと、白濁色をしたそれが指に絡み付いた。


    川 ゚ -゚)「どうだ、エロくないか」


     わざと扇情的に舐め上げる。独特の張り付くような甘みが舌を刺激した。


    ('A`)「クーさんは下品だな」


     ドクオは少しばかり不快そうに眉をしかめる。


    川 ゚ -゚)「そんなに神聖視されても困るのさ。私だって人並みに欲があるから」


     だから、こういうことをする。

     顔を耳元にそう囁くと、ドクオはびくんと跳ね上がり、上気していた頬を更に赤く染め上げた。
     その血潮でさえも、愛おしい。


    川 ゚ -゚)「私がお前のチョコレイトで恋に落ちたように、お前にも私のチョコレイトで恋に落ちてもらいたい」


     初めは、彼の全てを否定して、傷つき壊れた彼を所有したいと思った。

     けれど、それでは無駄なのだ。
     そのままでは、私の恋は実らないまま、冷凍保存されてしまう。


    川 ゚ -゚)「傷を刻むんじゃ駄目なんだ。丁寧に丁寧に、お前の恋心に私の名前を彫り込み、それを愛でたいと思った」

    ('A`)「その結果が、これ?」


     私とドクオの皮肉気な笑みが交差する。


    川 ゚ -゚)「最大限の私の愛さ」


     女の執念は、恐ろしい。

     そう呟いてドクオは浴槽の縁に座ろうとしたが、手足が縛られた状態では立つ事もまま成らない。


    ('A`)「俺が死んでしまっては元も子も無いとは思わないのか?」

    川 ゚ -゚)「思わないし、死なせない」

    ('A`)「クーさんは流石だな」

    川 ゚ -゚)「そうだな、お前が死んでしまったら美味しく頂くことにしようか。ツンやブーンにも振る舞おう」


     甘い甘いチョコレートになったドクオに青酸カリを仕込んで大好きな彼らを永遠のフロオズンチョコレイトにしてしまってもいい。
     優しくて可愛くて微笑ましい彼らが社会に、人に傷つき癒えない傷が刻まれる前に、冷凍保存して、私たちだけのものに。


     ああ、夢が広がる。


    ('A`)「ぞっとしない、お話だ」

    川 ゚ -゚)「私はぞくぞくしたよ」


     ドクオは呆れ返ったように笑う。私が彼を昏倒させる前に着ていた服は、浴室の湿気ですっかり重そうにドクオの肌に張り付いていた。
     そこに抱きつくと、じっとりとした服が私の頬にわずかに水滴がついた。

     三秒間だけ、力一杯抱きすくめる。壊れたように脈打つ私と彼の心臓が解け合うような錯覚を覚えた。


    川 ゚ -゚)「なぁドクオ、私に恋してくれ。愛さなくて良いから」

    ('A`)「分かった」


     力に自信がある訳では無いけれど、全力で頑張ってもやしっこなドクオを浴槽に、抱き上げて、下ろす。


    川 ゚ -゚)「むぐぐぐぐ」

    ('A`)「足解いてくれれば自分で入ったのに……」

    川 ゚ -゚)「なんか抵抗されそうだから嫌だ」

    ('A`)「しないよ、今更」

    10
     たぷん、と浴槽に入ったドクオは、甘い匂いに顔を攣かめた。

     浴槽一杯に押し込まれた、ホワイトチョコレイト。
     後ろ手が縛られているドクオの足は正座するように折り畳まれていて、狭い浴槽に仰向けに押し倒してしまえば、もう、抵抗は出来ない。

     満足げに微笑んで、私はそぅっとドクオの胸に手を置いた。

     

     がぼん、と痛々しい音がした。ホワイトチョコが頬に掛かる。
     まだまだ早い。


     暴れるように波打つ白い水面に指先を突っ込んで、待つ。
     まだ、早い。


    「                     」

     気泡が幾つも現れては弾けて消える。
     後少し。


    「           」


    11

     

     

     気泡も出なくなったのを確認してから、浴槽の中に手を突っ込み、引き出す。

     その細い気管にまでも白い白いホワイトチョコレイトが詰まっているのだと思うと愛しくなって、私は恋する少女のように彼に口付けた。

     


    川 ゚ -゚) 白いようです

     

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