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ブーン系小説の感想を書いたり書かなかったり
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    ('A`)のgdgdクッキングのようです

    >>91
    焼きうどん
    地獄のクッキングタイム
    真っ黒になったフライパン
    豆板醤


    ('A`)「……晩御飯どうしよう」

    家に帰って直ぐにこの言葉が口から飛び出るようになった。
    俺一人ならば適当にカップ麺でもなんでも良いのだが、この頃そうもいかなくなった。
    同居人が出来たからだ。

    始めは家事は交代制だったのだが、なにやらこの頃一任されてしまっているような気がする。

    ('A`)「いっちょガツンと言ってやらにゃならんかね……」

    携帯電話が尻ポケットで振動する。一瞬変な声が出そうになった。

    開くと、【Eメール 1件】と表示されている。差出人は、何となく予想がついた。

    从 ゚∀从白『晩御飯美味しいの作れよ。レトルトなんかで済ませたらぶち殺す☆』

    ('A`)「無茶言いなさる……」

    俺はお前のお母さんかなんかなのか。

     


    ('A`)「冷蔵庫の中ぁーはー案の定かーぁらっぽー♪」

    台所のシンク下の戸棚に背中を預ける。洗剤の入り混じった臭いが微かに鼻をついた。

    ('A`)「何週間買い物ぉーしてないーんですかぁーハーインリッヒさーん♪」

    意味も無く大きな冷蔵庫の中は、ある意味ブリザードだった。というか正しい意味でブリザードだった。
    冷凍庫に凍った生うどんが鎮座している他は、一袋のソーセージとピーマン、マーガリンと戸棚の中の無駄なまでに豊富な調味料と、レトルト物が少々。
    律儀に俺の実家が送ってきてくれるお陰で米だけはきちんと米びつのなかにあった。兼業農家に生まれて良かったと幸せを噛み締めつつ、炊飯器に米と水をセットする。因みに5分衝き。
    お急ぎコースのボタンをセットしてしまうと、いよいよする事に行き詰った。
    喰い物無いし。
    腹減ってないし。

    ('A`)「何で俺飯作ってんの……」

    自分が食べたいわけでも無いのにね! ふしぎ!

    ('A`)「……もういっそどうにか外食とかで済ませられないかな」

    脳内でどうにか料理をせずに済む方法をシュミレートする。

    ('A`)『帰ってきたら即行で爆睡しちゃってさ。作れなかったんだ、めんご☆』→从 ゚∀从『今から作れや』→死亡

    ('A`)『ちょっと今日調子悪くて……飯作れそうも無いんだ、ごめん』→从 ゚∀从『何?! 其りゃ大変だ! 待ってろ、あたしが最高のおかゆを作ってやるからな!』→地獄のクッキングタイム→死亡

    ('A`)『外食したいんだけど』→从 ゚∀从『作れよヒモ』→死亡

    ('A`)「……俺はヒモじゃねぇえええええ!!!!」



    思わず叫んだ。いや違う、ちゃんと働いてる。働いてるんだからな! 社会の荒波に揉まれながら……揉まれながら……、畜生働きたくねぇニートしてぇ。客の目が怖ぇ。
    接客業なんて此の世から根こそぎ根絶されろ。「あの店員何ー? ブアイソー」とか言ってんじゃねぇよ! 無愛想だって生きてるんだよ! 皆皆生きているんだよ友達なんだよ!
    目から汗が流れ出す。
    塩分の足りてない涙はしょっぱくなかった。

    ('A`)「うがー! もう、……飯何にしよう……」

    社会の荒波に泣かされつつも、現実逃避に戸棚に向き直り、レトルトでも見栄えのするものが作れないかと考える。
    レトルトのままで出すのも一瞬考えたが、

    从 ゚∀从白『晩御飯美味しいの作れよ。レトルトなんかで済ませたらぶち殺す☆』

    はい、却下。

    ('A`)「焼きうどん……あ、駄目だ、葱がねぇ。しかも一袋しかうどんないし」

    本当に何週間買い物して無いんですか、ハインリッヒさん。何故豆板醤の瓶が三つもあるんですか。そんなに何に使うんだ。

    ('A`)「……お、トマトジュースだ」

    赤い缶を眺める。調味料の棚を漁っていたはずなのに何故ジュースが出てくるのだろうと一考。
    ぎし、と古ぼけた台所の床が軋んだ。窓の外に小さな羽虫が飛んでいる影が見える。
    街灯の光がぼんやりとまぶしかった。

    ('A`)「何が出来るかなっと、」

    もう一度冷蔵庫を開く。温かみのある光と共に冷気が洩れた。ヴん、と鳴るモーター音に少々焦りつつ、取り敢えず玉ねぎとウィンナーを出してみる。
    ぴー、と米が炊けたのを告げる電子音が場を劈いた。


    しゅうしゅうと炊飯器から湯気が立ち上っている。

    ('A`)「あ、そうだ」

    まな板を出して、ウィンナーを四本転がした。文化包丁を取り出して、さくさくと分断していく。大体、幅五ミリくらい。
    ピーマンを一つ野菜室から取り出して、わたと種を取り除いて微塵切りにする。ウィンナーを移動させるのを忘れてた。なんというピーマン塗れ。
    ガス台下の棚からフライパンを取り出し、

    ('A`)「……予備のフライパンあったっけな……」

    いつの間にうちのフライパンは被爆したんだ? テフロン加工だったんだぞ? 高かったんだぞ?

    予備のフライパンを奥から取り出し、ピーマン塗れのウィンナーを入れる。あ、油が無い。もうマーガリンでいいか。フライパン温めてないけど、知らん。
    玉ねぎ半分に切って、更に半分に切って、残りを冷蔵庫に戻す。ざくざくざくざく、とこれまた微塵切りにする。
    適当に細かくなって、適当に涙と鼻水がだらだら出始めた辺りでこれまたフライパンに入れ、炒める。

    ('A`)「あ、コンソメコンソメ……無いし」

    まぁいいか。わかめスープの素で代用。別の容器を用意するのが面倒なので、素をフライパンにぶち込んで、其の後からお湯を適当に目測で入れる。木べらで適当に掻き混ぜると、和風だしが鼻をくすぐった。

    ('A`)「あー……、よく考えたら相性最悪かも分からんね」

    でもまぁいいか。知らん。



    ぐつぐつと煮立ち始めたのでご飯をこれまた目測で突っ込む。さて後は煮込むだけだ、と火を強めたところで、

    从 ゚∀从「たっだいまー! いっかの大黒柱ハイン様のお帰りだぜー! さぁ愚民どもよ平伏して飯を捧げるがいい!!」

    ('A`)「……」

    从 ゚∀从「……」

    ('A`)「あとちょっと待ちなさい」

    从 ゚∀从「はーい」

    俺はコイツのお母さんかもしれない、と思った。

    汁が殆ど無くなったら、塩で味を適当に調えて、皿に盛る。味見はしていない。

    二皿に分けた和風(?)リゾットを、ドラマに突っ込みを入れている奴の目の前にスプーンと一緒に置いてやる。まだ湯気が立っているそれを丸い目でそいつは見つめた。

    从 ゚∀从「……一品だけ?」

    ('A`)「一品だけですが何か」

    从 ゚∀从「えー!!」

    ('A`)「いらんなら喰わなくて宜しい」

    言いつつ、テーブルの向かいに腰を下ろす。途端、ピタリと五月蝿い口が噤まれた。本格的にお母さんか、俺。



    从 ゚∀从「まぁいいか、そういやあたし全然買い物してなかったんだけど、よく作れたな?」

    ('A`)「頑張ったんだよ」

    从 ゚∀从「頑張ったのか。買いに行けば良かったのに」

    ('A`)「……其の手が在ったか」

    思わず呟く。そいつは面喰らったように目を見開き、それから呆れたように溜息を吐いた。

    从 ゚∀从「お前、実は阿呆だろ」

    ('A`)「うるせーやい。豆板醤突っ込まれたいか」

    从 ゚∀从「あ、それ美味そう」

    違う料理にする気か。

    二人同時にいただきますを言って、食べ始める。

    ('A`;)「「……」」从 ;゚∀从

    思わず口ごもった。

    味が薄い。
    うわぁ近年稀に見る失敗作だこれ。
    食べれないわけでもないが、美味しくは無い。



    これはハインが黙っちゃいないな、と顔を上げると、予想外の笑顔が其処にあった。

    从*゚∀从「ん、うま、うまま」

    もっくもっくと食べている。
    「まーずーいー!」でちゃぶ台返しくらいを予想していた俺は、思わず肩を降ろした。からん、とスプーンが皿に落ちる。

    从 ゚∀从「ん? どうした? ドクオ」

    ('A`;)「い、いや、これ、ちょっと我ながら失敗したと思うんだが、……不味くないか?」

    从 ゚∀从「不味くないかどうかと聞かれれば、まぁ」

    それでももっくもっくとスプーンを動かし続ける。

    ('A`;)「なら喰うなや……いいよ、作り直すわ。うどんがあったからレトルトカレー使って、カレーうどんでも、」

    立ち上がって台所に向かおうとすると、「まぁ待て」と止められた。

    从 ゚∀从「今からあたし、良い事言うぞ」



    ('A`)「……はぁ?」

    从 ゚∀从「惚れ直すぞ」

    ('A`)「……はぁ」

    从 ゚∀从「やばいぞ」

    ('A`)「早よ言えや」

    むっふー、とハインリッヒは口元を緩めた。また一掬い、リゾットを口に含んでみせる。
    自慢げにスプーンを口から抜取り、にっこりと笑った。

    从 ゚∀从「あたしはな、お前が作ってくれた料理なら割となんでも食べるよ」



    もう一口、とまたスプーンを突っ込み、

    从 ゚∀从「愛は最高の調味料、とは言わないけど、確かに美味くはないけど。ってか不味いけど。正直もう食べたくないけど。てかピーマン嫌いだけど」

    ('A`;)「其処までぼろくそ言うなら喰うな……」

    从 ゚∀从「けど、お前は好きだからな」

    ぱくっと口に放り込んだ。

    从 ゚∀从「だから、カレーうどんは明日作ってくれ。……あ、いや、カレーうどんよりも焼きうどんのほうがいいな。うん、じゃあ明日の晩御飯は焼きうどんで」

    もっくもっくと食べ続ける。俺がぼんやりしていると、俺の分の皿にまでスプーンを伸ばし出した。
    皿を守りつつ、畜生、と毒づく。
    明日も俺が飯当番なのかよ。交代制はどうしやがった。

    从*゚∀从「あー、うまー! うままー!」

    焼きうどん作ってやるよ、ド畜生。豆板醤入れて、辛くて美味い、中華風の奴。


     

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